外貌醜状の扱いにおける男女差別と憲法14条
「<労災>顔にやけど「性別で障害認定に差」は違憲...京都地裁」(ヤフーニュースより)
勤務中に顔面に大やけどを負い、労働者災害補償保険法の障害認定を受けた男性が、外貌醜状についての障害等級の認定に男女差別があるのは憲法違反だとして、認定処分の取り消しを求めた裁判で、京都地裁は給付額に著しい差を設ける当該規定は憲法14条に違反するとして、処分を取り消したとのこと。
労働者災害補償保険法
第7条
1 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
一 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付
(以下略)
第12条の8
1 第七条第一項第一号の業務災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
(中略)
三 障害補償給付
(中略)
2 前項の保険給付(傷病補償年金及び介護補償給付を除く。)は、労働基準法第七十五条 から第七十七条 まで、第七十九条及び第八十条に規定する災害補償の事由又は船員法 (昭和二十二年法律第百号)第八十九条第一項 、第九十一条第一項、第九十二条本文、第九十三条及び第九十四条に規定する災害補償の事由(同法第九十一条第一項 にあつては、労働基準法第七十六条第一項 に規定する災害補償の事由に相当する部分に限る。)が生じた場合に、補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行う。
第15条
1 障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。
2 障害補償年金又は障害補償一時金の額は、それぞれ、別表第一又は別表第二に規定する額とする。
障害等級表(財団法人労災保険情報センターのサイトより)
労災保険法施行規則の障害等級表によると、女性の場合、外貌に著しい醜状を残す障害は7級となり、障害補償年金の対象となるのに対して、男性だと12級で障害補償一時金の対象にしかなりません。
これがどれくらいの差になるのか、給付基礎日額を1万円(大体月の手取り月給30万円くらいに相当)と仮定して考えると以下のようになります。
7級の場合、年間131万円の障害補償年金がもらえますので、仮に30年受給すると累計で4000万円くらいもらえることになります。
これに対して12級の場合、156万円の障害補償一時金でおしまい、ということになります。
女性の方が外貌醜状による影響が大きいというのは一応わからなくもないのですが、さすがに、差が付きすぎのように思えます。障害補償給付は等級7級までが年金で8級からが一時金となっているようなので、7級以上になるか8級以下になるかが大きな分かれ道です。仮に、女性が6級(給付基礎日額の156日分の年金)、男性が7級(同131日分の年金)くらいの差だったら、なんとか合理的といえそうなのですがね。
なかなか、興味深い判決です。