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2010年5月19日

ニセ医者事件と公印偽造罪

ニセ女医、大臣印鑑など偽造容疑で再逮捕」(ヤフーニュースより)

岩手県立宮古病院に「ニセ医者」が赴任しようとしていたという事件。全く、変な事件ですよね。件の「ニセ医者」、どうせばれるのになんでこんなことをしようとしたのでしょうか。ブラックジャックよろしく、医師免許もないのに診察しようとしたのでしょうか。

さて、このニュースでひとつ興味深いのが、ニセ医者氏が「公印偽造罪」で逮捕されたという点。


刑法165条(公印偽造及び不正使用等)
1 行使の目的で、公務所又は公務員の印章又は署名を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
2 公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。


厚生大臣印と厚生省健康政策局長印を偽造したという話なのですが、公印の偽造って、有印公文書偽造(刑法155条1項)の手段として行われることがほとんどであり、その場合だと公印偽造行為は公文書偽造罪に包括されてしまい、独立して犯罪になりません。そのため、公印偽造罪で独立して犯罪に問われることは滅多にないのではないかと思われます。現にTKCのローライブラリーでも10件ほどしかひっかかりませんし。

今回の事例だと、ニセ医者氏は偽造の医師免許証を作成途中であり、偽造文書に偽造した公印を押捺する前に捕まってしまったため、公印偽造罪単独で犯罪に問われるという珍事に至ったようです。

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