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2009年11月18日

公務員でもリコール請求の代表者になれる

公務員代表でも署名有効=高知県東洋町議リコール-最高裁大法廷」(ヤフーニュースより)


地方自治法に関する最高裁の判例変更。ただ、ネットの記事だとイマイチ要領を得ないのでワタクシなりに説明。


高知県の東洋町で、議員のリコール請求のための署名集め(地方自治法80条1項)が行われたのですが、請求代表者が町の農業委員会の委員(非常勤の公務員)だったために選管により署名が無効とされました。

ややこしい話ですが、地方自治法85条1項で、議員のリコールの投票については公職選挙法の規定が準用されることになっています。そして、公職選挙法89条1項では、公務員が在職中に公職の候補者になることが禁止されているところ、地方自治法施行令115条によると、この公職選挙法89条1項が議員のリコール請求代表者にもあてはまるとされており、結局、公務員は在職中リコール請求の代表者になれない、ということになります。


地方自治法80条
1  選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるその総数の三分の一(その総数が四十万を超える場合にあつては、その超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求をすることができる。この場合において選挙区がないときは、選挙権を有する者の総数の三分の一(その総数が四十万を超える場合にあつては、その超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、議員の解職の請求をすることができる。
2  前項の請求があつたときは、委員会は、直ちに請求の要旨を関係区域内に公表しなければならない。
3  第一項の請求があつたときは、委員会は、これを当該選挙区の選挙人の投票に付さなければならない。この場合において選挙区がないときは、すべての選挙人の投票に付さなければならない。
4  第七十四条第五項の規定は第一項の選挙権を有する者及びその総数の三分の一の数(その総数が四十万を超える場合にあつては、その超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)について、同条第六項から第八項まで及び第七十四条の二から第七十四条の四までの規定は第一項の規定による請求者の署名について準用する。

地方自治法85条
1  政令で特別の定をするものを除く外、公職選挙法 中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、第七十六条第三項の規定による解散の投票並びに第八十条第三項及び第八十一条第二項の規定による解職の投票にこれを準用する。

公職選挙法89条(公務員の立候補制限)
1 国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人・・・・若しくは特定地方独立行政法人・・・・の役員若しくは職員は、在職中、公職の候補者となることができない。(以下略)

地方自治法施行令115条
1  地方自治法第八十五条第一項の規定により、普通地方公共団体の議会の議員の解職の投票に公職選挙法中普通地方公共団体の選挙に関する規定を準用する場合においては、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

(中略)

上欄 中欄 下欄
第八十九条第一項 公職の候補者 普通地方公共団体の議会の議員の解職請求代表者


従来の最高裁判例もこの結論を肯定していたのですが、今日の最高裁大法廷判決では、地方自治法85条1項により公職選挙法が準用されるのはリコールの投票についてのみであり、投票の前段階のリコール請求には準用されない。よって、リコール請求にまで公職選挙法の規定を準用する地方自治法施行令は、地方自治法85条1項に基づく政令の定めとして許される範囲を超え無効としました。つまり、公務員でもリコール請求の代表者になれる、ということです。


判決文はこちら(最高裁のサイト。PDF)。


この事件、大法廷に回っているという話は報道で知っていましたが、何が問題になっていたのかは不勉強で全然知りませんでした。

なるほど、こういうことだったのか。

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