悪しき慣習
「賃貸マンション 家主に更新料の返還を命令 京都地裁」(ヤフーニュースより)
建物賃貸借契約において授受される「更新料」を消費者契約法10条違反とした初の裁判例。正当な判断かと思います。
特に京都の場合、建物賃貸借契約に伴う「更新料」を取ることが多いというイメージがあるのですが、国土交通省が2007年3月に行った「民間賃貸住宅実態調査」によると、京都でも更新料をとる物件は55%ほどで、思いの外少ないです。ただ、とる金額が平均で賃料の1.4ヶ月分と、多いのが特徴。
更新料の法的性質は(1)更新承諾料、(2)差額家賃前払い、(3)家賃前払いプラス安心料の三パターンがありうるといわれており(梶村太市・判タ341号、342号所収論文)、本件でも賃貸人側はおおむね同様の主張をしているようですが、実際のところ賃貸人側の意識としては、長年の慣習にあぐらをかいて「もらえるものはもらっとこ」という感じであるのが、上記国土交通省調査をみているとうかがえます。
消費者保護の観点からは、「更新料」なんかは悪しき慣習として、廃れる方向に裁判所がもっていくべきかと思います。