「損害賠償請求を求める訴訟」ちゅうのがそもそも迂遠
「住民訴訟敗訴...首長への賠償請求阻む自治体」(ヤフーニュースより)
地方自治法第242条の2第1項4号の住民訴訟を骨抜きにする「損害賠償請求権の放棄」という手口が横行しているという話。これはひどい。
地方自治法第242条の2第1項
普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第四項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第四項の規定による監査若しくは勧告を同条第五項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
(中略)
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合にあつては、当該賠償の命令をすることを求める請求
住民訴訟というのは地方公共団体において住民による行政の監視機能として重要な制度なわけですが、もともと、このいわゆる「4号請求」は住民が地方公共団体に代位して損害賠償請求訴訟を提起するというものだったのを、2002年に「損害賠償請求を求める訴訟」というなんだかまどろっこしいものに改正されてしまったのです。
参照:改正前の4号
普通地方公共団体に代位して行なう当該職員に対する損害賠償の請求若しくは不当利得返還の請求又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に対する法律関係不存在確認の請求、損害賠償の請求、不当利得返還の請求、原状回復の請求若しくは妨害排除の請求
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この改正の趣旨としては、「住民訴訟の被告となるという負担から首長や職員を解放する」ということがあげられていたようですが、当初から、代位訴訟から「損害賠償請求を求める訴訟」への変更は馴れ合いを招くのではという指摘がなされていたようです。
ま、案の定、というところなのですが、こういう骨抜きをできないような制度構築が必須だと思われます。