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2009年4月 5日

結局軌道には投入できなかったのか?

朝鮮民主主義人民共和国の人工衛星打ち上げ問題ですが、日本時間の今日11時30分頃、日本政府の用語によれば「飛翔体」が発射された、とのこと。

ロケットは秋田県、岩手県の上空を通過していったとのことですが、宇宙空間は国家主権が及ばないため、巷で言われているように「北朝鮮は怪しからん」というのは正当ではありません。

この問題についてのワタクシの立場は、前に書いたように、ミサイルミサイルと騒ぎ立てることはおかしい、ということで、ワタクシの関心は専ら、今回の打ち上げで朝鮮民主主義人民共和国が人工衛星の軌道投入に成功したのか否かです。


朝鮮中央通信は「人工衛星打ち上げ成功」と発表していますが(「朝鮮新報」のサイトへのリンク)、アメリカのNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)は「軌道に入った物体はない。物体は太平洋に落下した」と発表、他方でロシア外務省が「人工衛星を軌道に打ち上げた」としていると読める記事もあり、情報は錯綜しています。


「軌道上に衛星なし」北朝鮮打ち上げは失敗と米軍司令部」[ヤフーニュース(読売新聞)]
北が「人工衛星打ち上げ」=「追跡システムで特定中」とロシア」[ヤフーニュース(時事通信)]


上記二つの記事の元ネタを調べると、アメリカの方はNORADのサイトに記事があり、ロシア外務省の方はインタファクス通信が配信したものが元ネタみたいです(ロシア語の記事へのリンク)。そして、このインタファクス通信の記事を元にして共同通信が配信したものが京都新聞のサイトに載っていて、そちらの方が、インタファクスの元記事の要素をよく拾えているように思われます。

ロシア「人工衛星と確認」関係国に自制求める」(京都新聞)

時事通信と共同通信の記事をあわせてインタファクスのロシア語記事を読みますと(手元に辞書ないからかなりいい加減ですが)、ロシア外務省は「軌道については確認中。ただし、軌道を逸れてロシア連邦領内には落ちてはいないよ」という立場で、軌道投入成功を主張しているという話ではないようです。

ということで、米露の見解は両立しえ、朝鮮中央通信の発表にある「470MHzの周波数」による放送が受信されたという報告もないことからすると、NORADがいうように、軌道投入には失敗したというのが正しいところであるようですな。

そうなりますと、朝鮮中央通信の公式発表は真実に反することになるのですが、今後の注目点としては、朝鮮民主主義人民共和国が「宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約」の登録をどうするのか、ということですね。

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