新司法試験出願者が1万人を切ったという意味は・・・・
昨日のエントリーで、今年の新司法試験の出願者が9734人だったことに関して「1万人切ったかぁ」と書きましたが、晴雨様から「一万人切ったということの評価の意味はいかに?」というご質問をいただきましたので、ちょっと考えてみました。
私は、法科大学院の定員が全国で一学年約5700人いること、そして昨年の受験予定者で合格しなかった者が5645人いることから、今年の出願者は少なくとも1万人は超えるだろうと思っていたので、「思ったより少ないなぁ」という気持ちをこめて「1万人切った」という表現を使いました。
ただ、上記の私の考えは、法科大学院の一学年定員が全員新規に新司法試験の戦線に参入してくるということが前提にあるのですが、実際の志願者の動向を踏まえて考えると、まずその前提がちと怪しいのではないかとも思えてきました。
以下に、出願者ベースでこれまでの新司法試験における新卒者、既卒者の数と、合格者の数を記します。
出願総数 新卒 既卒 合格者数
第1回(2006) 2137 2137 - 1009
第2回(2007) 5401 4325 1076 1851
第3回(2008) 7842 4714 3128 2065
第4回(2009) 9734 4778 4956 ?
第1回は、いわゆる1期生の既修コース修了生のみ(定員ベースで約2300人)の受験となりますので特殊ですが、第2回以降は、一貫して新卒者の出願者が5千人を下回る状況が続いています。
この背景には、まず、法科大学院の定員割れがあるということと、入学者のうち少なからぬ者が修了前に退学した、あるいは修了しても新司法試験を出願しない(受験回避も含む)という現象があるように思われます。
そう考えると、まず、私の考えの前提にある、毎年5700人が新規に参入するという考えは前提を欠くことになります。
既卒者についても、全員が全員受験するわけではないですから、そう考えていくと、今回の9734人という出願数は、そんなに意外な数字でもなかったのかな、と思い直しました。
なお、私が2005年段階でいくつかの仮定をおいて試算した今年の受験者数予想は約1万4千人でした。ま、いくつかの仮定を前提としたものですから、外れていても仕方がないのですが。
コメント
大変ありがとうございます。
私の期待どおりの分析さすがです。ということはあきらめずに突き進むベしという啓示と受取り,法曹の道を目指します。
弁護士になれば権力と,検察になれば政治と,裁判官になれば政治や世論と対峙する存在であればこれくらいの困難はあって当然ではないかと思い,勉強を続けます。
我らが母校に栄光あれ!!
投稿者: 晴雨 | 2009年2月12日 20:21