前にも書いたとおり、有斐閣のプレゼント企画で、リニューアルされた「判例六法」を頂きました。ご恵贈くださった有斐閣様にはあつく御礼申し上げます。
なにぶん受領したばかりでまだほとんど使っていないのですが、パッと見た感じの感想めいたことを書いてみようかと思います。
なお、この度プレゼントで当選したのは「判例六法」であり、今年発刊された(そして、多くの皆様にとって興味のあるであろう)「判例六法プロフェッショナル」ではございません。以下に記載するのは、従来から有斐閣より刊行されてきた「判例六法」が携帯版になったものに関する感想です。
あと、判例付き六法としては、世の中には三省堂の「模範六法」をはじめとしていくつかあるわけですが、私はこれまでも有斐閣の「判例六法」しか使ったことがございません。感想としては、従来の有斐閣「判例六法」との比較が中心となることをお断りしておかなければなりません。
1.見た目について
従来の「判例六法」と比べて、一回り小さい「ポケット六法」サイズになっています(出版界で使用する用語に従えば、従来の「菊判」から「B6変形判」に変更)。しかし、1頁毎の文字数はほとんど減っていないようなので(日本国憲法のページ数で比較すると、昨年版の「判例六法」が48頁なのに対して最新版は50頁)、その分活字のポイント数が小さくなっています。私は格別気にはならなかったのですが、細かい字だと見えにくいという方もおられるでしょうから、なかなか難しいところです。
製本は、従来のビニール表紙から紙表紙になり、また背表紙に糊付け製本になっています。従来の製本は、率直出来がよいとは言い難く(昨年版は製本不良による交換もあったようです。私が交換を知ったのは相当使い込んだ後だったので頼みませんでしたが)、製本方法の改良は賛成。ただ、新しい製本が果たして「改良」になっているのかについては、使い込んでみないと何ともいえません。
なお、私の元に届いたものは、紙表紙から接着剤が一部はみ出していました。使用上は全く支障がありませんが・・・・。
あと、表紙のデザインがとてもかわいらしくなってしまったのに驚きました。有斐閣もずいぶんと思い切りましたね。好き嫌いが分かれそうですが、私は結構気に入った。
2.二色刷について
発売開始までの間、書店で見本などを見た限りでは、「あれはイカンよな」と思っていたのですが、実物を目にしたら、「意外と悪くない」と思いました。すごく見やすくなったわけではないけど、少し見やすくなった感じ。少なくとも、目障りで却って見にくいということはないです。
3.判例について
これは従来からですが、簡潔かつ当を得た要約で、判例の知識をざっと確認するのに適しています。
また、判例百選やジュリスト重要判例解説の番号がひけるのは学習上利便性が高いです。ただ、「三菱樹脂事件」に憲法百選第4版の番号が付されているなど、昨年版出版以降に出版された最新の判例百選の番号に切り替わっていない判例があったのが悔やまれるところです。
4.お値段
昨年版が税別3800円だったのに対して、最新版は税別2500円と、大幅値下げ。三省堂の「コンサイス判例六法」や岩波の「判例基本六法」とほぼ同じ価格帯になりました。
学習用の六法と考えた場合には、先述した、判例百選やジュリスト重要判例解説の番号がひけるのは有斐閣の強みではないかと思います。ただ、有斐閣「判例六法」は収録法令数が圧倒的に少ないのが難点。コンサイスが167件、岩波が136件(2007年版)に対して、有斐閣は102件。この点をどう評価するか・・・・。収録法令数が多いと「お得感」があるのは間違いないんですよね。
5.まとめ
学習用のサブ六法としてみた場合、判例六法は十分に使用価値があると思います。どうせ定期考査には判例付き六法は持ち込めませんから、定期考査用に別途六法を用意するので、収録法令数の少なさは率直気になりません。そして、学習用六法は常時携帯するので、小さい方が便利です。その観点からは、今回の判型変更はうれしい。また、貰ってしまった私は関係ないっちゃあないけど、値段が大幅にさがったのはいいですね。
ということで、判例六法については非常に満足度が高いです
ただ、有斐閣が小六法を休刊してしまったのは学習用六法と試験用六法を分けるという私の使い方からすると痛いです。これまでは、判例六法と小六法を組み合わせていたので。
有斐閣としては「判例六法プロフェッショナル」があるじゃないか、と考えているのかもしれませんが、前記したように判例付き六法は定期考査に使えないんですよ。あ、でも、判例六法プロ+ポケット六法という手もあるか。しかし、学習用六法は常時携帯するので、さすがに判例六法プロを携帯するのはなぁ・・・・。
判例六法プロフェッショナルから単純に判例を除去するだけでもいいので、小六法的なセグメントの六法を出してほしいな、と思います。判例六法の感想からは離れますが・・・・。