脱線事故
昨日発生した福知山線の脱線事故には驚かされました。実家が福知山線の沿線
なので、あの路線はしばしば乗車していました。父親も職場への出勤でしょっ
ちゅう乗っています。昨日は事故の第一報を聞き、取り急ぎ、実家に電話をし
ました。父親は仕事が休みで出勤していなかったので巻き込まれてはいない、
ということがわかりましたが(それでもしばらくは連絡つかず心配した)、あ
れほどまでに多数の死傷者が出ている現状では、到底、喜んだりは出来ません。
犠牲者の方々に哀悼の意を表するとともに、負傷者の一日も早い回復を祈念い
たします。
昔、鉄道会社に勤務していたときに、安全講習で、鉄道五原則(といっていた
ような気がするが、正確には覚えていない)、というのを習いました。確か、
安全、正確、迅速、快適、安価の五つだったと記憶しています。そして、この
五原則は、先に書かれているものが後に書かれているものに優先する、という
関係にあると理解しています(例えば、迅速に走ることよりも安全の確保とダ
イヤの維持が優先される)。その理解に立つと、当然のことながら、安全の確
保は最優先されることになります。
京阪神間のJRは、私鉄との競争関係から、大量高速輸送にシフトしています。
しかし、その結果として、安全性については大きく損なわれているような気が
します。複雑な路線を高密度に電車が走るため、ダイヤに相当な無理がかかっ
ていることがかねてより指摘されています。
数年前、人身事故の救護をしていた救急隊員が別の列車にはねられ死亡すると
いう事故が、今回の事故現場から2駅くらい大阪寄りの地点で発生しています
が、ダイヤ確保に気をとられて安全確保がなされていなかったという点に原因
の一端があったと記憶しています。今回の事故も、ダイヤ遅れを取り戻すため
に速度超過運転がなされたのでは、という推測が出されていますが、タイトな
ダイヤで運行するのは至難の業であり、その過程で無理を強いる構造が背景に
あるのでは、という気がしてなりません。
鉄道事業というのは、毎日同じことを淡々黙々とやっていく、という積み重ね
が要求される職場です。そして、ただ単に、淡々黙々とやっていくだけではな
く、規定の遵守が絶対的に要求されています。あまりに多くの鉄道事故が規定
からの逸脱に原因があります。信楽高原鉄道の事故も信号を遵守しなかったの
が原因ですし、福井の京福電鉄を廃線に追い込んだ衝突事故も、運転士の信号
無視が原因です。先日発生した東武鉄道の踏切事故も、踏切保安係の規定違反
が原因といわれています。ただ、先にも書いたように、規定からの逸脱を強い
るような構造的問題が、背景には存在しているように思います。単に末端の一
従業員に責任を押しつけるのでは、トカゲのしっぽ切りにしかならないでしょ
う。徹底した原因究明と、鉄道の原点である、安全最優先に立ち返った改善が、
絶対に必要でしょう。