法科大学院とは
法科大学院とは、裁判官・検察官・弁護士の、いわゆる法曹を養成する目的で、2004年4月から開設された「専門職大学院」です。
従来、法曹になるためには、司法試験を受けるだけでよく、司法試験は、基本的には誰でも受験ができるものでした。しかし、いわゆる司法制度改革の一環として、司法試験の受験に際して、法科大学院の修了を義務づけることになりました(仕組としては、医師国家試験の受験資格に医学部の卒業を要求しているのと似ているかもしれません)。現在は、制度改革の過渡期にあります。
法科大学院に入学するためには、まず、一次試験として、全国一斉に行われる「適性試験」というものを受験しなければなりません。「適性試験」は、主に判断推理力と文章読解力を問うもので、現在のところ、大学入試センターと日弁連法務研究財団の二団体が実施しています。その後、各大学院が実施する二次試験を受験することになります。
二次試験は、各大学院によって様々な試験が科されていますが、典型的な科目としては小論文と面接があります。また、多くの大学院が詳細な「志望理由書」の提出を要求しています。
法科大学院は、原則3年の課程で、入試においては法律科目試験を科してはならないというのが原則です(医学部の入学試験で医学の科目が出ないのと同じことです)。しかし、これまでに法学を学んできて、法科大学院の1年目の授業は受けなくてもよいと、各大学院において実施する法律科目試験などによって認定された場合には、1年分30単位が認定され、2年に課程が短縮されるという制度もあります(いわゆる既修コース)。多くの大学院が、この制度を利用して2年課程、3年課程それぞれについて募集をしています。
法科大学院の課程を修了すると、「法務博士」という学位が授与されます。そして、法科大学院修了後、最初にくる4月1日から5年以内に、3回司法試験を受験する資格が与えられます(逆にいえば、3回しか受験機会がない、ということになります)。
上記のことから、最初の新制度による司法試験は、2006年に行われます。そして、現在の司法試験は、新制度の司法試験と5年間併存して、2010年には廃止されます(厳密には2011年に、2010年の口述式試験で不合格だった者に対する口述試験のみ行われる)。
法科大学院に在学している、あるいは法科大学院を修了していても、現行の司法試験を受験することは可能です。ただ、法科大学院修了の2年前以降に受験した回数は、上記の回数制限にカウントされますし、2006年度以降の併存期間も、司法試験は、現行、あるいは新制度のどちらかにしか出願できません。